日の出みりんコラム

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自宅でみりんを作るのはNG!その理由と製造方法をご紹介

みりんを注いでいる画像

料理をするときにみりん(みりん類全般)を使うことはよくあるでしょう。みりんを使うことで、てり・つやを付けることができて、おいしい料理を作れます。
そこで気になるのは、みりんの製造方法です。普段からみりんを使っているなら、自分で作れるものなのかと考えてみたことがある人もいるかもしれません。
最初に結論から申し上げますと、国税庁の許可なく「みりん」を作ることは出来ません。

ここでは、みりんの作り方と酒税法に関してご紹介していきます。

みりん(みりん類全般)の製造方法

市販のみりん(みりん類全般)は、酒類に該当する本みりんと、非酒類のみりん風調味料、みりんタイプ調味料(発酵調味料)に分かれています。料理で使い分ける人もいるのではないでしょうか。それでは、3種類のみりんについて、製造方法を解説していきます。

【酒類】本みりん

日の出みりんの製造工程

本みりんは米、米こうじに焼酎(もしくは醸造アルコール)を加えてこしたものです。アルコール分は14%前後でエキス分が45%以上に調整されます。

製造の流れとしては、最初に行われるのは洗米と浸漬です。主原料の米を洗米することで糠分が取り除かれます。それから浸漬タンクで吸水し蒸米を行います。
蒸米というのは、蒸米機という機械を使用して高温の蒸気で蒸す作業のことです。
蒸米の次は放冷という工程です。放冷機という機械を使用して均一にならしてから冷まします。

これらの工程と並行して製麹(せいきく)という米こうじを作る作業を行います。先程と同じように洗米・浸漬・蒸米・放冷の作業を行います。この米にこうじ菌を付けて、製麹機内で温度と湿度を管理しながら米こうじを作ります。この工程は、製麹機に入れてから約48時間かかります。

米こうじができあがったら、次に行うのはもろみづくりです。蒸した米に米こうじとアルコールを加えてもろみを造ります。
もろみはすぐにできるわけではありません。約2ヶ月間熟成する必要があります。ただし、放置しておくだけではなく、定期的に櫂入れ(かいいれ)を繰り返します。これは熟成が均等に進むために必要な作業です。この櫂入れを行わないと熟成の進み具合がまばらになってしまう可能性があります。

熟成させたもろみをこす工程を圧搾といいます。圧搾機という機械を使用して、時間をかけながら丁寧にこしていきます。最後に、殺菌や濾過などを行うと本みりんの完成です。

完成した本みりんはボトルに充填されて、全国に出荷されます。

本みりんは、法律上酒類に該当するため、販売するには免許が必要です。酒税もかかっていますので、スーパーマーケットなどの売り場では「お酒」コーナーに置かれていたり、「これはお酒です」といった注意書きがされています。

【非酒類】みりん風調味料

みりん風調味料は、水あめ(糖類)、米・米こうじの醸造調味料、酸味料などを原料としています。穀物を糖化または発酵させて得られるエキス分が、本みりんよりも多く、60度以上です。また、本みりんと異なり、アルコール分は1%未満しか含まれていません。キング醸造では1960年より「日の出新味料」という商品名のみりん風調味料を製造・販売しております。

優れた甘さやてり・つやの付与が特徴で、アルコール分をほとんど含まないので料理にもそのまま利用できて便利です。エキス分が本みりんよりも多いことから、てり・つやなどをしっかり出したい場合におすすめです。

また、みりん風調味料は、本みりんと違って法律上酒類には該当しません。そのため、20歳未満でも購入ができ、酒税に関しても対象外です。

【非酒類】みりんタイプ調味料(発酵調味料)

みりんタイプ調味料は、発酵調味料などとして販売されているものを指します。原料に関しては、業界の自主基準が設けられています。みりん風調味料と同様に法律上の酒類には該当せず酒税はかかりません。

発酵調味料は、主に澱粉質物、糖類、果汁などを原料としたもろみを使用しています。ただし、酒税法で規定されているもろみを処分することの承認を受けて製造しているのが特徴です。また、食塩を使用することで不可飲処置を施しています。

さらに、アルコール事業法に基づくアルコール、糖類、食塩等を加えることで酒類に該当しないようにして製造されています。

食塩含有量はアルコール10度以下の場合で1.5%以上必要です。アルコールが10度を超える場合には、アルコール1度ごとに0.15%以上さらに添加しなければなりません。

そのような条件の元で、香味が良好で異味・異臭がないような性状を実現しています。

許可なくみりんを作ることは禁止されている

みりんの製造方法が分かれば、自分でみりんを作ることができるのではないかと思ってしまう人もいるかもしれません。

しかし、本みりんや原料の発酵調味料は製造段階でアルコール分が1%以上の「酒類」であるため、国税庁から酒類の製造免許を得て製造し、国に定められた酒税を納めております。

日本では、この酒類の製造免許を持たずに無断でみりんを作ってしまうと、法律違反になってしまうため注意しましょう。たとえ販売目的ではなく、自分で使用するだけの目的でも違反となります。

みりんがない!ほかの調味料でも代用できる?

料理でみりんを使用するとき、たまたま切らしていることもあるでしょう。時間的な余裕があれば、買いに行くことができますが、すぐに使いたいときもあるかもしれません。そのようなときには、ほかの調味料で代用できないか考えるでしょう。

たとえば、日本酒や砂糖などを使用することで、みりんに近い風味を出せそうだと考える人は多いはずです。日本酒とみりんはアルコール分も同じくらいで、砂糖を使えば甘くなるため、みりんの風味に近づきます。

また、白ワインにはちみつを加えてみりんの代わりに使用する人もいます。

ただし、日本酒や白ワインを活用してもみりん本来の効果は期待できません。少し違う味に仕上がってしまったり、てり・つやが出なかったりします。そのため、料理にみりんが必須な場合は、みりんを購入されることをおすすめします。

みりんの詳しい効果に関してはこちらの記事でも紹介していますのでご覧ください。

みりんの効果はたくさん!どのように使えば料理はよりおいしくなる?

 

まとめ

本みりんは蒸米・放冷・製麹・熟成・圧搾などの工程を経て製造されるのが特徴で、アルコールが加えられています。そのため、酒類に該当し、免許を持つ事業者でないと製造販売することができません。一般の人が許可なしでみりんを作ると法律違反になってしまうため注意しましょう。

また、みりん風調味料やみりんタイプ調味料は酒類には該当しませんが、原料や製法が本みりんとは異なります。料理によってはみりん風調味料やみりんタイプ調味料の方が合うこともあるため、うまく使い分けることが大切です。