- 日の出みりんコラム
みりんを買いにお店に探しに行ったものの、「本みりん」や「みりん風調味料」など、似た商品が複数あって、どれを選べば良いかわからないと感じたことはないでしょうか。
みりん(みりん類全般)は、本みりんのほかにも種類があります。この記事では、本みりんのほかに、どのような種類のみりんがあるのか、それぞれの特徴や料理での使い分けを詳しく紹介していきます。
目次
みりん(みりん類全般)は主に3種類に分けられる
みりん(みりん類全般)には、本みりん、みりん風調味料、みりんタイプ調味料(発酵調味料)の3種類があります。それぞれどのような違いがあるのか、その特徴と原料などを見ていきましょう。
本みりんとは
本みりんは、米、米こうじ、焼酎(もしくは醸造アルコール)を糖化、熟成して作られます。
本みりんの味わいや風味の特徴は、コクとまろやかな甘み、芳醇な香りがあることです。もち米に含まれるでんぷんが米こうじにより分解されてブドウ糖やオリゴ糖になり、タンパク質がアミノ酸に分解されて、その特徴であるコクやまろやかな甘みを生み出しています。
また、本みりんはアルコールが含まれていることから、酒税の対象になるため、価格は少し高めです。20歳以上でないと購入できませんので注意しましょう。子どもが口にする料理に使用する際など、アルコールが気になる場合は、十分に加熱してアルコールを飛ばす必要があります。
なお、同じ本みりんでも、味わいに違いを感じることがあります。これは、添加糖類の有無や熟成期間や主原料となるアルコールの種類などが異なるためです。いろいろと試して自分に合ったものを探してみると良いかもしれません。
●商品の一例
【原料】米、米こうじ、焼酎(もしくは醸造アルコール)
【エキス分】45%以上(酒税法の定義では40%以上)
【アルコール分】14%前後
【塩分】含まれない
みりん風調味料とは
みりん風調味料は、水あめ(糖類)、米・米こうじの醸造調味料、酸味料などをバランス良くブレンドした調味料です。本みりんのもつ調理効果がありながら、アルコール分は1%未満でほとんど含まれていません。酒税がかからないため、本みりんよりも安価で購入できます。
みりん風調味料は、水あめなどの糖類を多く含むため甘みを強く感じられます。また、本みりんと比べてエキス分を多く含みます。
【原料】水あめ(糖類)、米・米こうじの醸造調味料、酸味料など
【アルコール分】1%未満
【エキス分】60%以上
【塩分】含まれない
みりんタイプ調味料(発酵調味料)とは
みりんタイプ調味料は、水あめ(糖類)、米・米こうじの醸造調味料、食塩、アルコールなどを原料とした調味料です。本みりんのように、まろやかな甘みやうまみがつけられることを特徴としています。
本みりんやみりん風調味料と大きく異なるのは、塩分を含んでいることです。塩を加えていることから酒税の対象にはならず、本みりんよりも安価で購入できます。
【原料】水あめ(糖類)、米・米こうじの醸造調味料、食塩、アルコールなど
【アルコール分】10%前後
【エキス分】35%以上
【塩分】2%前後
本みりんを料理に使う目的とは?
レシピに記載があるという理由で、なんとなく本みりんを使ってはいませんか。レシピに記載があって使用するのは間違いではありませんが、本みりんのもつ効果を知ったうえで使用すればより料理に役立てることができます。
なぜ本みりんが料理に使われるのか、6つの目的を見ていきましょう。
食材の臭みを取る
本みりんは、食材の臭みの軽減にも役立ちます。アルコールが加熱により蒸発すると同時に、食材の臭みも一緒に取り除いてくれる共沸効果があるためです。
また、本みりんに含まれるアルコールのほか、糖類やアミノ酸などを加熱により発生させた成分などが臭みの元となる成分を覆い隠し、臭みを感じにくくするマスキング効果も期待できます。本みりんは、煮魚や豚の角煮など、臭いの気になる食材を使用する料理を作る際に便利です。
食材の煮崩れを防ぐ
本みりんは、糖類のほか、アルコールも多く含んでいます。糖分とアルコールは、でんぷんの流出を防いだり、魚や肉の筋繊維の崩壊を防ぎ食材の形を保つことから、煮崩れ防止にもおすすめです。
本みりんを使用すれば、食材の形をそのままに見た目の良い料理が作れます。煮物料理のような煮崩れしやすい料理を作るときに最適です。
コク深い味わいが出る
本みりんは、深いコクやうまみを付けるのにも役立ちます。本みりんのコクやうまみの元となっているのは、原料である米が分解されて作られたアミノ酸や有機酸や糖類といった成分です。
このようにアミノ酸や有機酸、さまざまな種類の糖類が複雑にからみあい、食材そのもののおいしさを最大限に引き出します。
まろやかな甘みを加える
砂糖はショ糖のみで構成されていますが、本みりんにはブドウ糖やオリゴ糖などの複数の糖類が含まれています。砂糖は単調な強い甘みを特徴としていますが、本みりんは砂糖とは異なる、コクのあるまろやかな甘みが特徴です。
そのため、まろやかな甘みを付けたいときは本みりんが役立ちます。また、本みりんをそのまま煮詰めて、シロップにしてお使いいただくこともできます。
料理にてり・つやを加える
本みりんを使用する代表的なレシピに「てり焼き」があります。てり焼きの美味しそうなてりは、本みりんの効果によるものです。本みりんには複数の糖類が含まれていますが、この糖類が食材にてり・つやを付け、食材をより美味しそうに見せてくれます。
うまみを染みこませる
本みりんは、食材にうまみを染みこみやすくする役割もあります。本みりんには糖類やうまみ成分だけでなく、アルコール分も多く含んでいるためです。
アルコールは、食材に素早く染みこむ性質があります。さらに、アルコールが食材に浸透する際、周りの調味料やうまみまで一緒に食材に引き込んでくれます。
本みりんを使うことで、食材にしっかりうまみを付け、さらにおいしく仕上がります。
みりんの使い分けはどうするの?
ここまで、みりんの種類と本みりんを料理に使用する目的を紹介してきました。それぞれの特徴や目的はわかったものの、みりんの種類による使い分けがいまいちわからないという声もあるでしょう。
ここでは3種類のみりんをどのように使い分ければ良いのか、みりんの使い分けについて紹介します。
アルコールの効果が欲しいときは『本みりん』と『みりんタイプ調味料(発酵調味料)』
みりんの中でも、本みりんやみりんタイプ調味料はアルコールを多く含んでいます。アルコールの効果が欲しいときは本みりんかみりんタイプ調味料を使用すると良いでしょう。
アルコールの効果には、食材に味を染みこみやすくする効果、アルコールの蒸発時に食材の臭みを軽減させる効果、煮崩れを防止する効果が期待できます。このようなアルコールの効果を加えたいときは、本みりんかみりんタイプ調味料がぴったりです。
ただし、先述したように、みりんタイプ調味料には、本みりんには含まれない塩分が含まれています。入れすぎたり、塩や塩分の多い調味料を料理に使ったりする場合は、バランスによっては塩味が強くなってしまいますので注意しましょう。味を確認しながら調整することをおすすめします。
そのまま使いたいときは『みりん風調味料』
みりん風調味料は、アルコールをほとんど含んでいません。本みりんやみりんタイプ調味料のように、加熱によってアルコールを飛ばさずにそのまま使用できます。
刺身の漬けや和え物を作るときや、めんつゆやドレッシングを作りたいときなど、ほかの調味料と合わせてそのまま使用したいときに便利です。
また、みりん風調味料は、水あめなどの糖類が多く含まれるため、まろやかな甘みを感じられます。甘みをより引き出したいときやてり・つやを出したいときにもおすすめです。
まとめ
一般に販売されているみりんは、本みりん、みりん風調味料、みりんタイプ調味料の3種類に区分されます。みりん風調味料は、本みりんよりも糖分が多くアルコールがほとんど含まれない調味料で、みりんタイプ調味料は塩分が含まれる調味料です。
食材の臭み取りや煮崩れ防止などアルコールによる効果が欲しいときは、アルコールを含んだ本みりんやみりんタイプ調味料の使用が適しているでしょう。
加熱せずにみりんのもつまろやかな甘みやうまみを加えたいときは、そのまま使用できるみりん風調味料がおすすめです。料理に合わせて適したみりんを使い分けましょう。